バドミントンの指導は経験者であれば誰でもできます。
しかし、中高生の大会では「バドミントンコーチ」や「公認審判資格」を保持していないとコーチとしては認められないのが現状です。
バドミントンコーチ1の役割
【バドミントンコーチ1】は日本スポーツ協会公認指導者としての位置づけにあり、公認指導者としての講習を受けたものでなければ、取得することができません。
日本スポーツ協会では【コーチ1】の役割として以下のことを示しています。
バドミントンコーチ1とは地域スポーツクラブ・スポーツ少年団・学校運動部活動等でのコーチングスタッフとして、基礎的な知識・技能に基づき、安全で効果的な活動を提供する方のための資格です。
このように、【コーチ1】ではバドミントンの基本的な技術指導だけでなく、安全性への配慮も役割として位置づけています。
バドミントンコーチは【コーチ1】、【コーチ2】、【コーチ3】、【コーチ4】とランクがあります。数字が大きくなるほど、上位の資格となり、専門性がより強まっていきます。
バドミントンコーチ2の役割としては
地域スポーツクラブ・スポーツ少年団・学校運動部活動等の監督やヘッドコーチ等の責任者として、安全で効果的な活動を提供するとともに、指導計画を構築、実行、評価し監督することと併せて、コーチ間の関わり及び成長を支援する。
バドミントンコーチ3の役割としては
トップリーグ・実業団等でのコーチングスタッフとして、ブロック及び全国大会レベルのプレーヤー・チームに対して競技力向上を目的としたコーチングを行う。
バドミントンコーチ4の役割としては
トップリーグ・実業団・ナショナルチーム等のコーチングスタッフとして、国際大会レベルのプレーヤー・チームに対して競技力向上を目的としたコーチングを行う。
このようにコーチ資格の数字が上がるにつれて、コーチとしての質が上がっていくことがわかります。
どんな人がコーチになれるのか
まず、【バドミントンコーチ1】の資格を取得するためには、日本スポーツ協会公認の講習を受けなければなりません。
講習は『共通科目Ⅰ』と『専門科目』の2つがあり、その両方を受講すること必要です。
受講者の条件として
- 18歳以上の者(バドミントンは20歳以上の者)※
※20歳以上にしている理由はある程度、社会的な責任が取れる年齢であるため - 地域においてスポーツ活動を実施しているクラブやグループ、スポーツ教室で実
際的指導にあたっている指導者及びこれから指導者になろうとする者 - 受講有効期間内で講習の全日程に参加が可能である者
共通科目Ⅰとは
【共通科目Ⅰ】は「スポーツ指導の基礎的知識と指導法を身につける」ことを目標としたカリキュラムであり、下記の項目を学べるようにしている。
- 指導者の役割(スポーツの意義と価値、Players first)
- コミュニケーション(信頼関係構築、対人スキル)
- スポーツ文化や振興策に関する知識
- 競技者育成に関する知識
- トレーニング科学に関する知識
- スポーツ医学に関する知識
- スポーツ栄養に関する知識
- 指導計画・安全管理・法的責任
- 対象に合わせた指導法
- スポーツ心理に関する知識
- スポーツ組織の運営や事業
- トップコーチ論
【共通科目Ⅰ】ではインターネット上で実施する知識確認テストとレポートがあります。
確認テストは400ページ近いテキストから上記の項目に従って問題が出題されます。問題は100問ほどありましたが、80%以上の正答率が求められます。
基礎的なことではありますが、なじみのないこともたくさんあるため、理解するのに時間がかかるかもしれません。
レポートは1000文字以上のものを5個提出します。内容は動画を視聴し、動画の内容に即して、実際の現場で起こりえる問題にどのように対応するかを書くものです。
テンプレートのようなものもありますが、実際に自分のクラブで起きていることや実践してみてどうだったかをレポートに書くため、こちらも時間がかかります。
【共通科目Ⅰ】は2週間ほどで終わる内容となっていますが、しっかり時間をかけたりすると、1カ月ほどはかかると思った方が良いでしょう。
筆者はレポートに時間がかかり、共通科目が受講できる日程ギリギリまで課題をこなしていました。
【共通科目Ⅰ】は余裕を持って受講するようにしましょう。
専門科目とは
【専門科目】は集合講習会が基本であり、実際に指定された会場で講習や検定試験を受けます。合計20時間ほどの講習会です。
【バドミントンコーチ1】では「コーチとは何か」「バドミントンの歴史」といった座学や「ゲームの指導方法」「ノックの出し方」など実際の生徒を相手に実践的に学びます。
その他にも「技術の指導方法」「プレイヤーの課題抽出」など普段の練習では体験できないことも学べます。また、集合講習のため、実際にクラブで指導している方々との交流もあり、他クラブの練習内容などを学べる機会にもなります。
【専門科目】については実施している各都道府県で内容が異なりますので、検定試験の内容も若干変わるようです。多くの方はお近くの都道府県で受講すると思いますが、どこの都道府県でも受講可能です。「たまには関東圏の人と交流したい」などあれば、講習会が実施されるか調べてみてください。
受講にかかる費用
上記の講習会を受講するにあたっての費用の目安は総計33,440円(税込)です。
共通科目の費用:18,040円(税込)
内訳:受講料15400円+テキスト代2640円
専門科目の費用:15,400円(税込)
内訳は各都道府県バドミントン協会によって異なり、金額も前後する可能性あり
登録にかかる費用
上記の受講料とは別に登録料もかかります。
登録の初年は13,300円で、4年間有効です。
基本登録料10,000円+初期登録手数料3,300円
バドミントンコーチ1の登録までの手続き
ここでは【バドミントンコーチ1】を初めて登録する方に向けて、流れだけを簡単に挙げていきます。【バドミントンコーチ1】の登録までの詳細な手続きについては別の記事で書くことにします。
- 【バドミントンコーチ1】の講習会情報を探す
- インターネットから【日本スポーツ協会】の【指導者マイページ】に登録する
- 受付期間内に【指導者マイページ】から【バドミントンコーチ1講習会】を申し込む
- 受講決定通知が届いたら、【バドミントンコーチ1講習会(専門科目)】の受講費を振り込む
- 【共通科目Ⅰ】を申し込み、受講費を振り込む
- 【共通科目Ⅰ】のテキストを購入する
- 【共通科目Ⅰ】の確認テストやレポートを期限内に取り組む
- 各都道府県で実施される【専門科目】を受講する
- 【共通科目Ⅰ】と【専門科目】の修了通知を受理する
- 登録手続き案内が届いたら【バドミントンコーチ1】の登録書類を提出し、登録費を振り込む
- 【バドミントンコーチ1】の登録が完了
- 4年に一度更新手続きを行う
【バドミントンコーチ1】の受講申し込みからから登録までの手続きを知りたい方はこちらの2つの記事をご覧ください。
バドミントンコーチ1を取得するメリット・デメリット
ここまでは【バドミントンコーチ1】の概要について説明してきました。
次にコーチ資格を取得するメリットとデメリットについて説明していきます。
コーチ1を取得するメリット
指導者として信頼性が高まる
コーチ資格を取得することで、指導者としての信頼性と専門性を証明できます。日本スポーツ協会という組織から認定された資格を持つことで、指導するプレーヤーやその保護者、学校の先生などの信頼を得やすくなります。
コーチ資格に限らず、資格は一定の基準に基づいた知識と技術を有していることを示すものですので、安心して指導を任せられる存在であることを証明します。
自身でクラブを設立できる
現在中学生の部活動は地域移行が進み、地域のクラブ名で大会に出られるようになりました。しかし、地域のクラブが団体として認められるためには誰か一人はコーチ資格を有する者がいないといけません。クラブを作る方法は以下の記事を参考にしてください。
https://badcoach-owl.com/club-activities/
自身の技術と知識の向上
【コーチ1】の資格取得に向けた学習過程で、自身のバドミントン技術や知識が向上することは明らかです。自宅での学習や集合講習を通じて、基礎技術の再確認や新しい指導方法の習得ができ、自分自身のプレーヤーとしてのスキルも向上します。また、技術的な面だけでなく、指導者としてのメンタルサポートやコミュニケーションスキルも学ぶことができます。
ネットワークの構築
資格取得を通じて、多くの同じ志を持つコーチや指導者とのネットワークを構築することができます。集合講習会での交流を通じて、他のコーチとの情報交換や意見交換が活発に行われます。このネットワークは、指導に関する悩みや疑問を解決するためのサポートとしても機能し、指導者としての孤立感を軽減します。
コーチⅠを取得するデメリット
費用がかかる
資格取得には講習料、教材費、場所によっては交通費、宿泊費など、さまざまな費用がかかります。また、資格を継続的に更新する場合はバドミントン協会の登録費に加え、コーチ資格更新費などもかかります。これらの費用は、特に若年層や学生にとって大きな負担となることがあります。
費用の詳細
・受講料 33,440円
・初年登録料 13,300円
・協会登録費 2800円×4年=11,200円
・4年後コーチ更新費 10000円
合計 67,940円
その他にも受講時の交通費や宿泊費など合わせると4年間で10万円は超える可能性もあります。
時間がかかる
資格取得には共通科目の学習、講習会への参加など、多くの時間が必要です。これにより、仕事や学業、他の活動との両立が難しくなる場合があります。
講習会は2、3日で終わるものがほとんどですが、自身で学習を進める共通科目は時間がかかりますので、時間の管理が必要となっていきます。
コーチ1取得のメリット・デメリットのまとめ
【コーチ1】の資格を取得することには多くのメリットがありますが、デメリットも無視できません。費用や時間の負担など、今後コーチとして活動していく上での必要性と見合っているのかを考える必要があります。これらのデメリットを理解し、対策を講じることで、より良いコーチングキャリアを築くことができるでしょう。資格取得を考える際には、これらの要素を慎重に検討し、自分にとって最適な選択をすることが重要です。
まとめ
- 【バドミントンコーチ1】は日本スポーツ協会公認指導者としての位置づけにあり、講習を受けなければ取得ができない。
- 講習は【共通科目】と【専門科目】の2つを受けること。
- 【共通科目】はスポーツ指導の基礎的知識と指導法を身につけるため、確認テストやレポートを実施する。
- 【専門科目】は集合講習で人を相手に実践的に学ぶ。
- 資格取得にかかる費用は初年で5万円ほど。
- 資格を取得することで指導者としての信頼性が向上するメリットはあるが、費用や時間がかかることのデメリットがある。
指導者になりたい方もコーチ資格を取って終わりではありません。資格を維持するためには定期的な更新が必要であり、継続的な教育や追加の講習を受ける必要が出てきます。
さらにステップアップをしたい方は【バドミントンコーチ2】、【バドミントンコーチ3】、【バドミントンコーチ4】と上位の資格取得に向けて努力を続けていってください。
コーチ資格が上がっていくことはコーチとしての質が向上していることを証明することにもつながります。
プレーヤーや保護者は信頼のできるコーチのもとで指導を受けたいと考えるのではないでしょうか。
筆者自身も今後コーチ2、3とステップアップできるように精進していきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。