目次
はじめに
バドミントンの基礎打ちは、ゲーム練習のウォーミングアップの目的で行われていることが多いです。しかし、基礎打ちをウォーミングアップだけを目的とした練習ではありません。
初級者の方は基礎打ちでも十分な技術練習になりますが、中級者、上級者の方にとってはまた別の意味合いを含んでいます。多くの人にとって基礎打ちが大事な理由を3つ紹介していきます。
- ウォーミングアップ(怪我の予防)
- 基本的なフォーム・技術の確認
- 環境の確認
「そもそも基礎打ちって何」という方はまた別の記事をご覧ください。
それでは基礎打ちが大事な理由を解説します。
ウォーミングアップ(怪我予防)の意味合いをもつ
基礎打ちはバドミントンの技を一通り練習することです。野球ではキャッチボール、サッカーやバレーでは対人パスがあるように、バドミントンも2人組、あるいは3人組になって、一通りの技を練習します。主な技の内容は
- ドライブ
- ドロップ&ロブ
- プッシュ&レシーブ
- クリア
- ヘアピン
- スマッシュ&レシーブ
- サーブ
これらを普段の練習(2時間とした場合)では10~15分くらいで行うことが多いと思います。そしてその後にノックやパターン、ゲーム練習に進んでいきます。
バドミントンにおいて基礎打ちは、単なる技術向上のためだけでなく、ウォーミングアップとしての重要な役割も果たしています。ウォーミングアップは、体を徐々に運動に慣らすプロセスであり、これにより怪我の予防やパフォーマンスの向上が期待されます。
体温の上昇
基礎打ちのウォーミングアップとしての役割はまず、体温を上昇させることが挙げられます。運動前に体温を上げることで、筋肉や関節の柔軟性が増し、怪我をしにくくなります。特にバドミントンのような急激な動きが求められるスポーツでは、事前に筋肉を温めておくことが重要です。
心拍数の上昇
次に、心拍数を徐々に上げることも大切です。急に激しい運動を始めると心臓に負担がかかり、パフォーマンスが低下するだけでなく、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。基礎打ちを通じて心拍数を徐々に上げることで、心肺機能が適切に準備され、激しいプレーにも対応できるようになります。
精神的な準備
さらに、基礎打ちは精神的な準備にも役立ちます。ラリーを続けることで集中力が高まり、試合や練習への心構えが整います。バドミントンは瞬時の判断力と反応が求められるスポーツであり、精神的な準備が整っていることはプレーの質を大きく左右します。
このように、バドミントンの基礎打ちは、体温を上げ、心拍数を調整し、精神的な準備を整えるというウォーミングアップの意味合いを持っています。これらの準備が整うことで、プレイヤーはより安全に、そして効率的に練習や試合に臨むことができるのです。
基本的なフォーム・技術の確認
バドミントンにおける基礎打ちは、プレーヤーが正確なフォームと技術の習得、維持、そして改善する意味合いをもちます。これにより、選手は安定したパフォーマンスを発揮できるようになります。
フォームの確認
まず、基礎打ちは正確なフォームの確認に役立ちます。バドミントンでは、正しいフォームで打つことが非常に重要です。基礎打ちを通じて、プレーヤーはラケットの握り方、スイングの軌道、打点の位置などを確認し、正確なフォームを身につけることができます。これにより、効率的に力を伝え、正確なショットを打つことが可能になります。
技術の確認
次に、基礎打ちは技の技術の確認と上達に寄与します。プレーヤーは定期的に基礎打ちを行うことで、基本的な技術を常に確認し、磨きをかけることができます。特に、クリア、ドロップショット、スマッシュなどの基本的なショットは、試合で頻繁に使用されるため、これらを基礎打ちで行うことは重要です。基礎打ちによって、これらのショットの正確性と安定性を高めることができます。
試合に向けた準備
また、基礎打ちは試合に向けた準備としても重要です。試合では多様なショットと戦略が求められますが、これらの基盤となるのは基本的な技術です。基礎打ちによってこれらの基本技術をしっかりと確認し、自信を持って試合に臨むことができます。ただし、大会によっては基礎打ちの時間が確保されていない場合も多いため、どのような基礎打ちをするかはシミュレーションをすると良いでしょう。
総じて、基礎打ちは、正確なフォームの確認、技術の維持と向上、そして試合準備のための基盤となります。
環境の確認
バドミントンにおける基礎打ちは、選手が技術を確認するだけでなく、プレー環境の確認にも役立ちます。具体的には、天井の高さ、ライトの明るさ、後ろの壁との距離感、床の滑り具合、空調など、コートやその周囲の環境を把握することが重要です。これらの環境要素を把握することで、選手は試合中の不測の事態に対処しやすくなり、より良いパフォーマンスを発揮できます。これらの確認は大会当日や慣れない会場で練習をする際に必要な確認です。
天井の高さ
まず、天井の高さの確認です。バドミントンでは高いクリアやロブショットが求められるため、天井の高さがプレーに大きく影響します。基礎打ちを通じて天井の高さを把握することで、自分のショットが天井に当たるリスクを減らし、適切な高さでショットを打つ感覚を掴むことができます。
また、天井が高い会場はシャトルが上から落ちてくる際に距離感がつかみにくくなる可能性もあるため、基礎打ちの際に天井の高さ(奥行き)をしっかりと確認し、慣れておくことが大切です。
ライトの明るさ
バドミントンの試合会場は天井の高さやライトの明るさが規定されています。それでも普段の練習会場と明るさが違うだけで、シャトルの見え方も変わります。また、コートの位置によっては天井を見上げた時にシャトルがライトと重なることがあるため、基礎打ちの時点で、ライトの明るさをしっかり確認することが必要です。
壁との距離感
次に、後ろの壁との距離感の確認です。普段の練習から大きな体育館を使用できるクラブは少ないと思います。そのため、いざ大きな体育館で試合をするとコートが非常に大きく感じることがあります。それは天井や後ろの壁にスペースがあるためです。そのため、壁の圧迫感がなくなり、どこまでコートの後ろまで下がると良いのかなど、フットワークの距離感も微妙にずれたりします。そのため、基礎打ちの際には壁との距離感をしっかり確認しながら打つことが大切です。
床の滑り具合
バドミントンは急なストップやダッシュを頻繁に行うスポーツであり、床の滑り具合がプレーに大きく影響します。大会会場になる体育館でも床が滑ることがあります。気温や湿度によっても床の状況が変わるため、基礎打ちの際に「ここ滑るかも」と確認しておきましょう。また、少しでも滑るところがある場合は、ぞうきんを準備したり、すべり止めマットを持っていくなどの対策を行います。基礎打ちを通じて、コートの床の状態を確認し、足元の動きを調整することで転倒や怪我を防ぐことができます。
空調(風向き)
バドミントンのシャトルは非常に軽く、風の影響を受けやすいため、空調の状態を把握することが試合や練習のパフォーマンスに大きく影響します。
基礎打ちを行うことで、プレーヤーは空調の影響を実際に体感し、シャトルの飛び方や軌道の変化を確認できます。たとえば、風が強い場合、シャトルの飛距離が通常よりも伸びたり、逆に短くなったりすることがあります。このような環境下で基礎打ちを行うことで、選手は風の影響を考慮したショットの調整が可能になります。
また、基礎打ちの最中に空調の影響を確認することで、試合中に風の変化があった場合でも迅速に対応できるようになります。プレーヤーは風の影響を考慮した戦略を練り直すことができ、相手プレーヤーよりも有利に試合を進めることができます。
実際に実力があるプレーヤーでも風の影響を読み切れず、ミスにつながり、そのまま負けてしまうということもざらにあります。いかに基礎打ちの時点で「風を読む」かが重要になります。
総じて、基礎打ちはプレーヤーがプレー環境を確認し、その環境に適応するための重要なプロセスです。天井の高さ、後ろの壁との距離感、床の滑り具合などを事前に把握することで、試合中に予期せぬ問題が発生するリスクを減らし、安定したプレーが可能になります。基礎打ちは単なる技術練習にとどまらず、環境適応のための準備段階としても非常に重要です。
まとめ
バドミントンの基礎打ちの重要な役割を以下の三つの観点から簡潔にまとめます。
- ウォーミングアップ
- 体温上昇:筋肉や関節の柔軟性が増し、怪我の予防に。
- 心拍数上昇:心肺機能を適切に準備し、激しいプレーに対応。
- 集中力向上:精神的な準備を整え、試合や練習への心構えを強化。
- 技術やフォームの確認
- 正確なフォームの確認:ラケットの握り方、スイングの軌道、打点の位置を確認。
- 基本技術の維持と向上:クリア、ドロップショット、スマッシュなどのショットの正確性を高める。
- プレー環境の確認
- 天井の高さ:クリアショットやロブショットの適切な高さを確認。
- 後ろの壁との距離感:ラリー中にシャトルが壁に当たらないように適切な距離感を把握。
- 床の滑り具合:動きやすさを確認し、転倒や怪我を防止。
- 空調の影響:シャトルの飛び方や軌道の変化を体感し、風の影響に対応。
これらの確認を通じて、プレーヤーは試合や練習で安定したパフォーマンスを発揮しやすくなります。