はじめに
バドミントンの練習と言えば、コート上でのラリーやノック練習が真っ先に思い浮かびますが、限られたスペースと環境でも効果的に技術を磨く方法の一つに「壁打ち」があります。 狭いスペースでも練習できる手軽さから、初心者から上級者まで幅広いレベルで活用されています。
壁打ちはラケットワークやショットの精度、反応速度の向上に役立つことはもちろんですが、フットワークの一歩目を出す練習にもなります。常に一定の箇所に打つことでショットの精度は高まります。さらに、シャトルの回転によっては思ってもない方向にシャトルが返球され、そこに足を出して取りに行くというのがフットワークの練習にも効果的です。
また、パートナーがいなくても単独で使えるため、練習相手がいない場合や、特定のショットを集中的に練習したい時などにも、壁打ちは強力な練習方法です。壁打ち練習がどのようにスキル向上に貢献するのか、その効果や注意点を含めて解説します。壁打ちを日々の練習に取り入れることで、安定したショットと精密なラケットコントロールが身に付き、試合での対応力も向上します。
最後にどこでもバドミントンの練習ができる【かべ打ち君】の紹介をしていきたいと思います。
この記事におススメの人
- バドミントンを始めたばかりの初心者
壁打ちはラケットの握り方やラケットの動かし方を身につけることができます。初心者はまず、ラケットにシャトルを正確に当てる技術をいち早く身につけることが大切です。
- レシーブ力を強化したい方
普段のゲーム練習でレシーブが課題だと感じている方はおススメです。壁はどの相手よりも確実にシャトルを返してきます。そのため、正確にラケットに当て続けることでレシーブ力の強化につながります。
- 手首を強化したい方
壁打ちはおもに手首や腕を使って打つことが多いため、連続して壁打ちをすると手首(前腕)が強くなります。やりすぎに注意ですが、重いラケットやスカッシュのラケットを使って壁打ちをすることでさらに手首を強くすることが可能です。す。
- バドミントンの持久力や集中力を高めたい方
壁打ちは連続して行うことで体力や集中力が鍛えられるため、持久力と精神力を強化したい方におすすめです。連続した壁打ちで心肺機能だけでなく、筋持久力を向上させ、試合で安定したパフォーマンスを発揮できる力を身につけることができます。
壁打ちとは?
壁打ちとは文字通り、壁に向かってシャトルを打つ練習のことです。テニスやバレーボールでも壁に向かって連続でボールを打つ練習がありますが、そのバドミントンバージョンです。
全日本総合でも連覇を果たしている田児賢一選手もYoutubeで壁打ちの練習動画をあげています。上級者中の上級者の方も壁打ちの練習がいかに効果的で重要かを説明してくださっています。
壁打ちは「1000球打ったら、1000球返ってくる」という田児選手の言葉通り、打ったら必ず返ってきます。こちらが正確に打ち続けていれば、正確に返球されます。
それでは具体的にどのような練習ができるかと効果について説明していきます。
壁打ちの効果
ショット精度の向上
壁打ちの練習では、シャトルの返球(テンポ)が速いため、常に対応し続ける必要があります。そのため、自然とショットの精度やリズム感が向上します。壁に正確にシャトルを打ち返すことで、自分のラケット面の向きやタイミングを調整することになります。
ラケットコントロールの向上
壁打ちは力任せではなく、ラケットの角度やスイングスピード、タッチの強弱を意識しながら行う必要があります。 特に、シャトルに当てるラケット面の向きが少しでも変わるだけで返球が不安定になります。そのため、壁打ちでは常に正しい面での打ち方とラケットコントロールが求められます。これにより、無理のないスイングで安定したショットが打てるようになり、ラリー中の失点が減ることにつながります。
短時間での回復力強化
壁打ちはシャトルを打った直後にシャトルが返ってくるため、50回打っているあたりで腕や肩に疲労がたまってきます。そのため、数秒休憩してからすぐに50回打つといった練習をすることで、瞬時に腕や肩を回復させる練習にもなります。目的によっては疲れた状態でも打ち続けるということも可能です。かべ打ちでは心肺機能向上の効果は難しいですが、筋持久力への効果は絶大です。
レシーブ力の強化
壁打ちはなんといってもレシーブ力が格段に向上します。壁打ちをする際はバックハンドで打つことが多いかもしれません。その理由は常に壁に向かって正面に立っているとバックハンドショットの方がフォアハンドよりも打ちやすいからです。そのため、バックハンドで打ち続けていることでラケットにシャトルを当てる正確性が向上します。
バドミントンで大事なことはミスなくいかに相手のコートにシャトルを返し続けるかです。相手コートに叩きつける決定力を身につけることも非常に重要ですが、初心者や経験年数を重ねてきた方こそ、レシーブ力の強化が非常に重要です。しっかりとラリーができることで、得点につながり、決定打を打つことにもつながります。そのため、壁打ちでしっかりとレシーブ力を強化していきましょう。
ちなみに、壁打ちはバックハンドだけでなく、フォアハンドでのショットも可能ですが、難易度が少し上がります。これは後程説明します。
壁打ちでの練習メニュー
クリアの壁打ち
クリアはコートの奥まで飛ばす基本的なショットです。 壁打ち練習では、シャトルを壁の高い位置に向かって遠くに、安定して同じ高さにシャトルを打つことが目標です。面の角度やスイングのタイミングを意識しながら、正確にクリアを打つ感覚を磨きます。弱い打ち方だとうまくシャトルが返ってこないため、なるべく強く打つことを意識します。
- 練習の目標:壁の高い位置に安定してクリアを打ち返し、ラケット面の角度とスイングを一定に保つ。
- 効果:クリアの精度が増し、試合での安定感が向上します。
- 注意点:天井の低い体育館や跳ね返りの弱い壁では練習ができません。なお、壁と近すぎるとラケットを壁にぶつける可能性があります。
プッシュの壁打ち
プッシュはネット際のシャトルを叩いたり、押し込んで打つショットです。プッシュの壁打ちは非常にテンポが速くなるため、打ったらすぐラケットを上げるという意識が育ちます。連続で50回できれば手首の力も強まりますし、ラケットコントロールが上手であることを示します。プッシュの壁打ちは打ち込んだシャトルが下に向かってしまうことが多いため、連続して同じフォームで打つことが難しくなります。少しドライブショットを打つつもりでも良いと思います。
- 練習の目標:フォアハンドならフォアハンド、バックハンドならバックハンドと決めて、連続で30回以上は打ち続けられるようにリズムを意識して打ち続ける。
- 効果:ラケットワークと反応速度の向上、手首の強化につながります。
- 注意点:やりすぎると手首を痛める恐れがありますので、やりすぎには気を付けてください。
レシーブの壁打ち
レシーブは相手の攻撃を打ち返すショットです。レシーブはバックハンドで打ち返すことが多いです。レシーブ練習時になるべくシャトルは一定の場所に返球するようにしましょう。
- 練習の目標:バックハンドで一定の場所に返球し続ける。
- 効果:シャトルコントロール、レシーブ力の向上、手首の強化につながります。
壁打ちを効果的に行うためのポイント
ラケット面を意識する
壁打ち練習は、ラケットの角度が少しでもずれると予想されるシャトル外の方向に返球されるため、ラケットの面をどの角度にするのかという意識が必要です。これにより、試合でも安定したラケットワークが身につき、打球の精度が高まります。
力任せではなく、フォームを大切に
壁打ちはフォームの乱れが即座に影響するため、力任せにプレーするのではなく、正しいフォームを意識しながら打ち続けることが大切です。常にきれいなフォームでいることで疲れにくくなり、安定したショットを維持できます。
リズムを意識して打球する
壁打ちでは、一定のリズムで打ち続けることで、試合中のラリーに必要なリズム感を身に付けられます。ショットのスピードやタイミングを一定に見極めながら、繰り返し練習しましょう。
疲労に注意し、無理をしない
壁打ちは連続でシャトルを打ち続けるため、特にやジュニア選手は体力が消耗しやすくなります。 疲れが出るとフォームが崩れやすいため初心者やジュニアは適度に休憩を取り、体力と集中力を維持ながら練習することが大切です。
回数をこなせるなら、トレーニングラケットやカバーを使用
一回の壁打ちで50回は続けてできるようになったり、100回連続で実施しても疲労を感じない場合は、150gのトレーニングラケットやラケットカバーを使用することをおススメします。
特にラケットカバーは風の抵抗を受けることでラケットの面をとても意識できるようになります。風の抵抗を受けながら打つことで正しい面の角度で打てているということになります。
以下の商品がトレーニングラケットです。普段使用するラケットよりも重くなっています。
壁打ち用アイテム【かべ打ち君】
【かべ打ち君】とはバドミントンの壁打ち練習に特化した板です。
体育館だけでなく、自宅や屋外でも使用可能です。しっかりとした反発性のため、目的に応じた練習が可能です。
- 大きさ:縦85cm×横85cm×厚さ2.5cm
- 重さ:2.8kg
- 値段:32,780(税込) 2024年11月段階の値段
その他の壁打ち用アイテム
- 特徴:自宅や屋外でも使用可能。反発音が小さいため、自宅でも周りに迷惑を掛けずに練習ができます。 非常に軽量であり、カーテンレールにつけての練習も可能。
まとめ
バドミントンにおける「壁打ち」練習は、プレーヤーの技術を磨くための重要な練習方法です。コートがなくても、壁さえあれば自主練習ができるため、初心者は、まずラケット面を正確に合わせ、シャトルを正しい方向に飛ばす感覚を掴むことができます。中級者は、ラケットコントロールの安定性や正確なフォームの習得ができ、上級者は、持続した高精度のショットやリズム感、体力強化を目的とした応用練習が可能です。
壁打ち練習の効果を最大化するためには、ラケットの角度、スイング速度、力の加減を意識し、一定のリズムを守ることが重要です。フォームを崩さずに練習を続けることで、試合でも安定したパフォーマンスを発揮できるようになります。
初心者から上級者まで、どのレベルの選手にとっても「壁打ち」は効果的な練習法であり、基礎から応用まで技術を磨ける手軽で効率的な手段です。ショットの安定性や反応力を向上させ、試合での対応力をより確実なものにしていきましょう。