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バドミントンクラブの設立ー必要な手続きを解説
令和5年度から運動部活動の地域移行が積極的に進み、バドミントン競技もバドミントンクラブでの大会参加が増えてきています。
ここでは「バドミントンクラブを作りたいけどどうしたらいいの?」「クラブの登録や申請に必要な書類って何?」と疑問をお持ちの方に簡単にバドミントンクラブの設立方法を紹介します。
流れは以下の通りです。
- バドミントンクラブを作る意欲
- バドミントンクラブの活動拠点を確保
- バドミントンクラブの規約作成
- バドミントンクラブの構成員を確保
- バドミントンクラブの登録
- バドミントンクラブの審査結果
- バドミントンクラブ構成員の協会登録
- 上記②~⑦を毎年行う(一部省略可)
以上のことについて説明していきます。
また、クラブの指導者だけでなく、所属する中学生や保護者の方も気を付けていただきたいポイントを話の流れに沿っていくつか紹介します。
上記の他に、クラブの代表者が気をつけなければいけないことを付け加えながら、進めていきますので、最後までご覧ください。
①バドミントンクラブを作る意欲
社会人でもバドミントンを続けている方の10%ぐらいの方は「子どもたちにバドミントンを教えてみたいな」と頭をよぎることがあるのではないでしょうか。
あるいは、中学・高校と一所懸命バドミントンをしてきて「大人になったら指導者になりたい」という方もいると思います。
まずは、その「教えたい!」「バドミントンの楽しさを伝えたい」という気持ちを維持させていくことが大切です。
そして、もう一つ大切なことは仲間を作ることです。
「子どもの指導をしたい」という同じ志を持っている仲間を早く見つけてください。
一人ではクラブとして認められません。一緒に活動をしてくれる仲間を「クラブを作りたい」という意欲があるうちに見つけましょう。
仲間を作ることで、クラブを継続してく意欲も強まってきます。
クラブを一から作るという意欲だけでなく、継続していく意欲も非常に大切になっていきます。
せっかく子どもたちがやる気を出しても、指導者のやる気がなくなれば、意味がありません。最初の志を忘れずに活動を続けていきましょう。
②バドミントンクラブの活動拠点を確保
いざ「バドミントンクラブを作るぞ!」となっても、活動場所がなければバドミントンはできません。
活動場所として重要な項目を挙げていきます。
- 体育館の広さ(コート数、コート間、高さ)
バドミントンコート2面は確保できる場所を確保(クラブの人数にもよる)。
基礎打ちの際に1コートで3ペア(6人)を上限とすると、大体10人くらいのクラブであれば2面は必要。
クラブによってはコートの間にネットを張ったり、体育館のスペースを活用して、簡易のネットを設置するところもある。コートとコートの間だけでなく、コートと後ろの壁の距離があるところを選ぶと良い。コートと壁が近いと圧迫感が強くなり、後ろに下がるフットワークが遅くなったり、後ろまで下がりきらずに打つことを身体が覚える。体育館の高さは12m以上が理想だが、実際にそのくらいの規模のものは多くない。大人が本気でクリアを打ってもシャトルが天井に当たらないくらいの体育館がおすすめ。 - 体育館使用料
自治体によっては小中学校の体育館、活動センターは無料というところあり。
4コート以上使用できる体育館は1回数百円から数千円かかるところもある。継続的に活動を続けていくならば、なるべく支出を抑えるために体育館の使用料はかからないところがおすすめ。 - 安全管理
活動にあたって、生徒がけがをしない環境を整えることが大切。
床に穴が開いている、バドミントンポールのネジが緩い、トイレが不衛生など細かいところの配慮が必要。
使い勝手の良さはもちろんだが、生徒や保護者が安心安全に使用できる活動場所を確保すること。
長期的に使用することを考えて、活動場所を検討していきましょう。また、活動拠点を確保する意味合いとして、後程説明しますが、クラブ登録時の申請用紙に活動場所を記載する欄が設けられています。
どの場所で、どのくらい活動をしているのかというのは生徒が安全に活動できるのかを評価するためにも重要なことです。
そのため、活動場所はしっかりと考えて確保してください。
③バドミントンクラブの規約作成
場所が確保できたら、次はクラブの規約を作ります。
クラブ活動としての決まりやどのような組織かを表すためのものです。
一般的な規約に記載されている項目を紹介します。詳しい説明は『バドミントンクラブの規約の書き方』を参照ください。
- 名称
- 活動場所
- 活動の目的
- 活動の内容(活動方針)
- 組織
- 組織の役割
- 構成員
- 構成員の脱退
- 活動費
- 免責事項
- クラブの解散
- 規約の改定
大体のクラブの規約にはこれらのことが盛り込まれています。
詳しい書き方は別の記事にて紹介しています。ここではこういった項目を組み込むのかということを理解してもらえればと思います。
クラブの規約を作ることで、銀行の口座も作りやすくなります。
また、クラブとしての在り方を示すことで、生徒や保護者にとっても安心して活動できるクラブであることを説明することにもつながります。
どういうクラブを運営してきたいのか、しっかりと考えてから規約を作っていきましょう。
④バドミントンクラブの構成員を確保
バドミントンクラブの活動場所と規約が決まったら、次は人の確保です。
バドミントンクラブとして認められるために、日本中学校体育連盟が出している『地域クラブ活動の参加特例における各競技部細則』にはこのような記載があります。
地域クラブ活動の要件
ア 地域クラブ活動の構成員は、代表者・事務担当者(日本バドミントン協会・都道府県協会登録の管理者)・指導者・所属中学生とする。所属中学生以外は、成人(20歳以上)とする。
地域クラブ活動の構成員
ア 所属中学生
(ア)当該年度の夏季全国大会出場につながる大会(地区大会、都道府県大会、
ブロック大会等)に出場できるのは、一人1回のみである。
(イ)登録している地域クラブ活動から出場するか所属校から出場するかを選択する。
(ウ)所属校のある都道府県と異なる都道府県にある地域クラブ活動から出場することは可能である。
(エ)夏季全国大会出場につながる最初の大会への出場後の移籍変更はできない。
イ 指導者を除く地域クラブ活動の構成員は、他の地域クラブ活動に重複して登録はできない。
(ア)一大会(地区予選会と都道府県大会はそれぞれ一大会とする)において重複して他の地域クラブ活動や中学校の監督・マネージャー(生徒)・外部指導者(コーチ)、個人戦入場許可申請者(成人)として登録することはできない。
(イ)指導者は複数の地域クラブ活動に登録が可能なため、一大会(地区予選会と都道府県大会はそれぞれ一大会とする)ごとに、登録済みの他の地域クラブ活動や学校の監督・外部指導者(コーチ)、個人戦入場許可申請者(成人)としての登録は可能である。
ウ 中学校の教職員が、地域クラブ活動の構成員(代表者・管理者・指導者)になることは可能である。
大事なことはクラブの代表者は他のクラブの指導者にはなれないということです。
大会の時に間違って他のクラブの生徒のコーチングに入った場合は失格となる可能性があります。気を付けてください。
⑤バドミントンクラブの登録
活動場所、活動の規約、活動する人が決まったら、次は登録です。
登録先はお住いの都道府県の中学校体育連盟です。
各都道府県で必要な書類は異なりますので、きちんと各連盟にご確認ください。
ここではある県で示された登録の際に必要な書類を例に示します。
- 令和〇年度地域クラブ活動登録申請書→ある県の登録申請書の例
- 令和〇年度地域クラブ活動の登録・誓約書
- 団体規約(団体の活動方針等が分かるもの)
- 団体役員名簿
- (公財)日本スポーツ協会公認スポーツ指導者資格等を証明するもの
以上の書類がそろい記入が終わりましたら、提出期限までにお住まいの中学校体育連盟に提出します。
⑥バドミントンクラブの審査結果
これは結果を待つしかありません。
ただし、書類の提出後に自身で不備を見つけたり、書類が足りていないかったことに気づいたら、すぐに連盟に連絡をしてください。
クラブ登録が認められた場合
上記の⑥でバドミントンクラブが承認されたら、次の『⑦バドミントンクラブ構成員の協会登録』へと移ります。
クラブ登録が認められなかった場合
クラブ登録が不承認だった場合は、不承認理由を連盟に確認してください。
次年度以降の登録に向けて、クラブとして認められるために必要な修正を行います。
すでに所属中学生を確保している場合は直ちに、所属中学校での参加または他のバドミントンクラブへの参加を促してください。
⑦バドミントンクラブ構成員の協会登録
バドミントンクラブの構成員は全て、お住いの都道府県を通してバドミントン協会に登録が必要です。
基本的には年度の初めごろに登録します。
登録料は各都道府県で若干異なりますが、基本的には小学生・中学生500円、高校生1000円、大学生1800円、社会人(一般)2800円です。
バドミントンクラブとして団体登録料が必要になるかは今後のバドミントン協会の動向を確認していてください。
⑧上記の②~⑦の繰り返し
以上が基本的なバドミントンクラブの設立に向けた手続きでした。
これらの手続きは毎年行う必要があります。しかし、規約に関しては一から作るのではなく、一年間活動してみて、修正が必要かどうか見直します。組織としてうまく回っているか、活動内容に偽りはないか、自分たちできちんと確認することが重要です。
中体連の主催大会に参加を認めないクラブ
一度バドミントンクラブとして認められても、次の年も簡単に認められるとは限りません。また、クラブとして認められても、生徒の大会参加が認められないケースもあるようです。
以下にある県の『中体連主催大会に参加を認めない場合』について示します。
ア 登録申請及び参加申込に際して,参加条件に虚偽の内容が判明した場合。
イ 大会における競技役員や審判へ協力しない場合や諸会議へ出席しない場合。
ウ 同一競技内において,在籍中学校と地域クラブ活動,または地域クラブ活動どうしの複数登録を行った場合。
エ 複数の地域クラブ活動でチームを編成した場合。
オ 団体競技において,県境を越えるチーム編成を行った場合(東北中体連 確認事項)。
上記ア~オの場合,選手は出場機会を失うことになるので,地域クラブ活動の責任者は十分に注意すること。また,上記ア~オの場合,次年度以降の登録を認めない。
このように各都道府県で事前にクラブとしてのあり方を示されています。そのため、クラブの活動を継続していく予定の方々はきちんと確認し、今後のクラブ運営に努めてください。
まとめ
ここまで、バドミントンクラブの設立方法について説明してきました。
<バドミントンクラブを作る8ステップ>
- バドミントンクラブを作る意欲
- バドミントンクラブの活動拠点を確保
- バドミントンクラブの規約作成
- バドミントンクラブの構成員を確保
- バドミントンクラブの登録
- バドミントンクラブの審査結果
- バドミントンクラブ構成員の協会登録
- 上記②~⑦を毎年行う(一部省略可)
それぞれのステップで細かい手続きが必要になります。
より詳しく書類の書き方を知りたい方は各都道府県の中学校体育連盟に確認することをおすすめします。
ぜひ、バドミントンクラブを設立して、一人でも多く「バドミントンは楽しい」と思える人を増やしていきましょう!