目次
バドミントンクラブの規約の作り方
部活動の地域移行にあたり、地域クラブが団体として認められるためにはクラブの『規約』が必要です。バドミントンクラブもほとんどの地域で『規約』が必要となっています。生徒が大会に出るために、クラブが正常に活動していることが条件となります。
ここでは、バドミントンに限らずスポーツクラブを作る方に向けて、活動クラブが団体として認められるための『規約』の作り方を紹介していきます。
大体そのまま真似をしてもらえれば、規約はあっという間に完成します。
①クラブの名称
一番初めはクラブの「名称」を定めます。「名称」はどのような活動団体かパッと見てわかるものが良いでしょう。例えば、バドミントンでは「○○シャトルズ」「○○バドクラブ」など。
作成例:
第一条 (名称)
名称は、「○○シャトルズ(以下、「本クラブ」という)」とする。
②クラブの所在地
次はクラブの「所在地」を定めます。これは、団体として銀行口座を作成したり、クラブ会員の保険契約をする際に必要になるものです。所在地は代表者の住所を登録することが多いですが、実際の活動場所を所在地とすることもあります。例えば「○○市バドミントン協会(○○市体育館)」などですが、その場合は活動場所に所在地として記載してよいか確認してください。
作成例:
第二条 (所在地)
本クラブの所在地は○○県〇〇市〇ー〇番地とする。
または
第二条 (所在地)
本クラブの所在地は○○市バドミントン協会(○○市体育館)とする。
③クラブの目的
次はクラブを作る背景となる「目的」を定めます。この「目的」はクラブの活動の方向性を示すことにもなるので、とても大切なポイントです。クラブを設立しようとした人たちで丁寧に時間をかけて考えるようにしてください。
作成例:
第三条 (目的)
本クラブは、〇〇することを目的とする。
④クラブの内容
クラブの目的が定まったら、活動内容を具体化させていきます。活動内容が明確でないと、周りから見るとどのような活動が行われているかわかりませんので、結果的に怪しい団体と思われます。目的と合わせてしっかりと活動内容を定めてください。実際に活動が行われていなくとも「このような活動をしていきます」ということを示しても構いません。
第四条 (活動内容)
本クラブは、第三条に定める目的に従い、下記に定める活動を行う。
1.児童・生徒のバドミントン技術の向上に向けて、バドミントン の練習を行う。
2.~
3.~
4.その他、本クラブの目的を達成するために必要と認められること。
⑤クラブの組織
ここからはさらに具体的なクラブの運営内容を定めていきます。クラブ組織である以上、最低でも5人以上はクラブ員がいる前提ですが、クラブ組織が大きくなればなるほど、クラブ員の「役割」が重要となります。クラブ組織の役員の役割は規約の中でも非常に重要な項目です。
まずは、「代表」と「役員」を定めます。クラブ運営でお金が発生する場合は「会計」を定め、その会計運営を確認する「監査人」を定めることが大切です。
なお、クラブの選任方法についても定めておくと、クラブ内のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
第五条 (組織)
本クラブは、次の役員を置く。
1.クラブ代表 1名
2.クラブ副代表 2名
3.事務局長(会計)1名
4.監査人 1名
第六条 (選任方法)
1.第五条に定めるクラブ代表は、クラブ会員の過半数の賛成をもって、クラブ会員の中から決定する。
2.第五条に定めるクラブ代表以外の役員は、クラブ会員の中から、クラブ代表者が指名し、本人の承諾及びクラブ会員の過半数の賛成をもって、決定する。
3.第五条に定める役員が欠けた時は、クラブ代表が兼務する。加えて、クラブ代表が欠けた時は、新たなクラブ代表が決定するまでの間、クラブ副代表がその任務を行う。
第七条 (役員の役割)
1.クラブ代表は、本クラブを代表し、本クラブの活動を統括する。
2.クラブ副代表は、クラブ代表を補佐し、クラブ代表が欠けた時は、クラブ代表に代わって、本クラブを代表し、本クラブの活動を統括する。
3.事務局長(会計)は、本クラブの活動で生じた金銭等の財産を管理する。
4.監査人は、本クラブの活動及び会計を監査し、不適切なことを発見した時は、クラブ代表及び副代表に報告する。
⑥クラブの「活動年度」を定める
役員の役割が決まったら、次は活動の区切りである、活動年度を定めます。これは会計処理や活動内容の見直しのために必要になります。
小中学生のクラブであれば、4月1日から3月31日が基本的な活動年度ととなります。
第八条 (活動年度)
本クラブの活動年度は、毎年4月1日から3月31日とする。
⑦クラブの構成員(会員)について定める
さてクラブの組織が完成し、あとは構成員(会員)の条件を定めます。中学校の部活動が地域移行化するにあたり、どの地区から大会に出るかは非常に重要となってきます。基本的には所属する学校の地区からになると思いますので、『〇〇区(市町村)に住所を置くもの』と地域を限定することもあります。また、事前にクラブの規約を理解してもらうためにも『クラブ規約に同意できる者』という要項は必須です。
第九条 (加入用件)
1.本クラブの構成員(児童・生徒)は、下記の要件をすべて満たしたもので、クラブ代表および副代表が承認した者とする。
①○○区(市町村)に住所を置く者
②本クラブの規約に同意した者
⑧クラブの構成員の退会について
クラブの団体として活動する中で、加入者もいれば、退会者も出てきます。「活動の方針に合わなかった」、「中総体が終わり引退となった」など。退会の理由は様々ありますが、クラブ運営をしていく上で、本人の退会理由だけでなく、代表者および副代表が強制的に退会させられる規定も定めると良いでしょう。
第十条 (退会および退会命令)
1.本クラブに所属する構成員はクラブ代表に「退会」の意思を伝えることにより、いつでも、任意に退会することが可能。また、所属中学校の卒業に伴う場合は、意思表示がなくとも退会したものとする。
2.下記に定める事由に該当した場合はクラブ代表および副代表により、構成員を強制的に退会させることができる。
①本クラブの規約に違反したとき
②本クラブの活動の妨げとなる、反社会的・非社会的行動を行ったとき
③1カ月以上連絡が取れないとき
④上記の他、クラブの運営上好ましくない者とクラブ代表および副代表が認めたとき
⑨クラブの活動費(入会費・月謝)を定める
クラブを運営していく上でお金は必要です。場所代やシャトル代、大会参加費など、支出はいたるところで出てきます。クラブの代表者が全額を負担するということは現実的ではなく、活動資金が必要です。そのための規定をしっかりと定めて、役員側、構成員ともに不正がないようにすることが大切です。また、金銭に関することは管理方法についても定めておくと良いでしょう。
第十一条 (活動運営費)
1.本クラブの活動にかかわる費用はクラブ運営費の中から支弁する。
2.クラブ運営費は入会時に3000円、月謝4000円とする。
3.クラブ運営費は活動年度に退会した場合でも返還しないものとする。
4.クラブ運営費を徴収した結果、剰余金が発生した場合は、翌年に繰り越すものとする。
5.クラブ運営費は原則として金融機関口座にて預け入れて管理することとする。
⑩クラブの「免責事項」を定める
組織の枠組み、内容、構成員やお金の取り扱いについてまで定めたら、責任の所在を決めます。それは「免責事項」と呼ばれるもので、クラブ活動を行っている際に発生する問題の責任は誰が負うのかということを説明します。クラブ活動中に事故が起きてしまい、クラブの構成員が死亡してしまった場合に、クラブに社会的、民事的な責任を問われる可能性があります。クラブの規約として定めたとしても、クラブの代表者に責任がなくなるわけではありませんが、事前に「免責事項」を定めておくことで、それに同意して加入したという証明になります。ただし、法的にどのくらいの効力があるかは定かではありませんが、ある程度のトラブルを防ぐうえでも、必ず「免責事項」は定めておきましょう。また、クラブの代表・副代表は起こりえる事故は想定して活動を行っていきましょう。そして必ずスポーツ保険にも入りましょう。
第十二条 (免責規定)
本クラブ及びクラブの構成員(代表およびその他の役員を含む)は、クラブ活動で生じた事故等に関して、いかなる責任も負わず、各構成員の自己責任とする。
⑪クラブの「解散」について定める
クラブが組織である以上は「解散」するときがきます。構成員が不足し、不在になった場合でも、銀行口座を開設している場合には解散が必要となります。この規定で、合意による解散を定めておくと良いでしょう。
第十三条 (解散)
本クラブは次の事由により解散するものとする。
①クラブの構成員が4人を下回ったとき。
②クラブの構成員全員が合意したとき。
⑫クラブ規定の「改定」について定める
最後の項目ですが、一度定めた規約でもクラブ活動の方針が変わったり、その時代に合わせて問題が出てきます。そこで、規約の改定についての方法を定めておくと良いでしょう。
第十四条 (クラブ規約の改定)
1.本クラブ規約は、クラブ役員の過半数の同意をもって改定することができる。
2.本クラブの規約の改定は役員またはクラブの構成員の3分の1以上の発議によるものとする。
⑬クラブ規約の「附則」を定める
附則とはその規約の始まりはいつか、どのように改定されたのかを定めたものです。規約変更などの「記録」の意味合いになるので、本文の最後に「附則」として明記します。
附則
本クラブ規約は、クラブ設立日である〇〇年△△月◇◇日から施行する。
〇〇年△△月××日 第◇条改定、第▲条追加。
まとめ
以上で、クラブの『規約』の作り方について説明は終わりとなります。大事なことはクラブをどのようなクラブにしたいのかという目的と内容です。クラブの『規約』を常に更新し、クラブの構成員が納得した形で活動ができるように色々と考えていけると良いでしょう。