はじめに
バドミントンはパワーや敏捷性を兼ね備えたスポーツであり、その両方を効果的に向上させることが重要です。単純なウェイトトレーニングだけではパワーは向上しても敏捷性やスピードは向上しにくいものです。
バドミントンというスポーツの性質上、ボディビルダーのようなムキムキな筋肉ではなく、コート内で小回りが利くフットワークや素早く飛んで打つための俊敏な筋肉が必要です。一瞬で力を最大限発揮することを繰り返すため、いかに筋肉を素早く収縮させて力強いショットを打てるかが大事です。
そこでメディシンボールはバドミントンのパフォーマンスを向上させるための優れたトレーニングツールとして注目されています。本記事では、メディシンボールを使用した練習メニューとその目的や効果について詳しく紹介します。
この記事におススメの人
- バドミントンのコーチや指導者
- バドミントンプレーヤー
- バドミントン好きの方
新しい練習メニューを探している、プレーヤーのスキル向上やモチベーション維持のためのアイデアを求めている方はぜひ最後までご覧ください。
メディシンボールとは
メディシンボールとは、重りの入ったボールのことです。「メディシン」という名の通り、元々は医療でのリハビリに活用されていたものが、最近ではスポーツトレーニングやフィットネスに広く使用され、筋力、持久力、バランスを鍛えるための優れた道具として使われるようになりました。
メディシンボールの特徴
- 重量: メディシンボールは1kgから10kgのものまで様々な重量があり、初心者から上級者まで幅広く対応できます。
- 材質: ゴム製、レザー製、ビニール製などがあり、使用目的や使用する環境に応じて選ぶことができます。
- サイズ: 片手で持てる小型のものから両手で抱える大型のものまであり、トレーニング内容に応じて適切なサイズを選べます。
メディシンボールを使用する目的と効果
筋力の向上
バドミントンではシャトルを強く打つための筋力(パワー)が重要です。メディシンボールを叩きつける、投げることによって、背筋や腹筋といった上半身の筋力を効果的に鍛えることができます。「スマッシュを速くしたい」、「クリアをもっと遠くに飛ばしたい」という方には非常に役立ちます。
また、膝に挟んで遠くに飛ばす、メディシンボールを持ってスクワットなどのトレーニングによっては下半身強化にもつながります。目的に応じて筋力を向上させることができます。
体幹の強化
バドミントンは素早い方向転換や空中での安定した姿勢が求められるスポーツです。体幹を強化することで、安定した姿勢を保ちながらスムーズに動けるようになります。メディシンボールを使用したプランクや持って走るといったトレーニングは、体幹筋群や脊柱起立筋群などの筋力を効果的に鍛えることができます。
持久力の向上
バドミントンの試合は非常に高い持久力が要求されます。メディシンボールは重い物がほとんどですので、持っているだけでも筋持久力が向上します。また、メディシンボールを使用したHIITなどの全身の筋肉を使うトレーニングは、心肺機能の向上にも寄与します。
バドミントンはラケットを常に持っていなければならないため、実感がないまま、上肢・手指が疲労していることがあります。小さめのメディシンボールを持ってるだけでも上肢・手指の筋持久力が向上します。
メディシンボールを使った具体的な練習メニュー
ウォームアップ
- メディシンボールパス
- チームメイトやコーチがいれば、力を入れずにパスをします。両手で持って下投げ、横投げ、上投げなど全身のウォームアップを行います。
- 手だけで投げようとせず、全身を使うイメージでボールを投げると全身の血行が促進されます。
- メディシンボールランジ
- メディシンボールを持ちながらランジを行います。
- 足の筋力と同時にバランスを鍛えることができます。
- 単純なランジのフォームがきれいにできてからやることをおススメします。
瞬発的筋力レーニング
- メディシンボールスラム
- メディシンボールを地面に強く叩きつける動き。
- 上半身の筋力と爆発的なパワーを鍛えます。
- 下記の動画ではジャンプをして叩きつけていますが、ジャンプをせずともたたきつけるだけで十分です。
- 注意点としては腰や肘に負担を掛けないように全身で叩きつけるようにう動かします。
- メディシンボールスロー
- メディスンボールを壁に向かって投げる。
- 上半身と体幹の筋力を向上させますが、下半身から上半身に向かって力を入れる連動性も向上されます。
- 投げ方は色々ありますが、下記の動画は一例です。
体幹トレーニング
- メディシンボールツイスト
- 座った状態で、メディスンボールを左右に動かす。
- 腹斜筋を効果的に鍛えます。
- 慣れてきた場合は、重いボールに変えても良いですが、軽いボールでも早くツイストできるように心がけるとより、俊敏な動きか可能となります。
- 腰痛がある人は気をつけましょう。
- メディシンボールプランク
- メディシンボールの上で腕立て伏せの体勢になり、姿勢をキープするプランクです。
- 体幹を強化し、バランスを向上させます。
バランストレーニング
- メディシンボールシングルレッグスタンド
- コーチやチームメイトがいたら、一緒に片足で立ちながらメディシンボールを投げ合います。
- バランス感覚と下半身の安定性を向上させます。
- メディシンボールスクワット
- メディシンボールを持ちながら行うスクワットです。
- 下半身の筋力とバランスを同時に鍛えます。
- 慣れてきたら、メディシンボールを二つ使用し、その上に立ちます。そこでスクワットを行うことでより不安定な状態でバランスが強化されます。
持久力トレーニング
- メディシンボールサーキットトレーニング
- メディシンボールを使った複数の動きを連続して行います。
- 持久力と全身の筋力を効果的に鍛えます。下記の動画は参考です。
- メディシンボールバーピー
- バーピーにメディシンボールを組み合わせます。
- かなり高強度の持久力トレーニングになります。
- 回数よりも時間で行うと良いでしょう。
メディシンボール使用のデメリット
1. 怪我のリスク
メディシンボールは重量があり、正しいフォームやテクニックで使用しないと怪我をするリスクがあります。特に初心者や筋力が不足している人は、過度な負荷をかけすぎないよう注意が必要です。
2. 専門知識の必要性
メディシンボールを効果的に使うためには、適切なフォームやトレーニング方法を理解する必要があります。誤った使い方をすると、期待される効果が得られないだけでなく、怪我の原因にもなります。
3. 初心者・小中高生にとっての負荷
メディシンンボールは筋力トレーニングに適している一方で、初心者にとっては負荷が大きすぎる場合があります。初めての人や成長期途中の小中高生は軽量のメディシンンボールから始め、徐々に重量を増やすことがおススメです。
4. スペースの必要性
メディシンボールを使ったトレーニングは、ある程度のスペースが必要です。特にスラムやスローなどの動きでは、安全にトレーニングを行うために広いスペースが必要となります。下記の動画では部屋の中でも使用できるメディシンボールの使い方を紹介していますので、参考にしてみください。
メディシンボールの選び方と購入のポイント
重さの選び方
メディシンボールは様々な重さのものがあります。初心者には軽めの3kgから始めることをお勧めします。上級者や筋力のある方は5kg以上のものを選ぶと良いでしょう。
また年齢に合わせて考えるの大切です。
成長期段階の小学校高学年から中学生の終わりにかけての子には1~3kgがお勧めです。しかし、まだ体が出来上がっていない状態ですので、メディシンボールのトレーニング自体もハードにやらないことをおススメします。
身長が止まってきた高校生には3~5kgを選ぶと良いでしょう。力の出し方を身につけさせるためには重い物を使用することをおススメします。
より上級者には5~10kgでも良いですが、怪我のリスクが高まるため、基本は5kgで十分と筆者は考えています。バドミントンの競技自体重い物を持つわけではないので、単純に重い物が持てるようになったからと言って強いスマッシュが打てるわけではありません。いかに重い物を持ちながらも身体を上手に使えるか、一瞬で力強く叩きつけられるかと言うことが大事だと考えます。
材質の選び方
メディシンボールはゴム製やレザー製など様々な材質のものがあります。使用する環境や目的に応じて選びましょう。屋外で使用する場合は耐久性のあるものを選ぶと良いです。
屋内で使用する場合はゴム製の物では壁や床を傷つける可能性もあるため、ソフトレザー製がおススメです。
サイズの選び方
メディシンボールのサイズも様々です。使用するプレーヤーの身体のサイズに合わせるよりも、トレーニング内容に応じて適切なサイズを選びましょう。
全身を思いっきり使ってトレーニングする場合は両手で抱えるぐらいのサイズ、片手だけで叩きつけるのであれば手のひらサイズなど目的に合わせて選びましょう。
購入のポイント
メディシンボールは使用用途によってボールの重さや材質は異なるものを選ぶため、色々なメディシンボールを持っておくと良いでしょう。
また、ゴム製のメディシンボールは使用する環境によってはすぐに割れることがあり、大体半年ほどでの買い替えが必要になります。
ソフトレザータイプの物であれば、1年から2年ぐらいの耐久性はありますが、徐々に中の砂や綿のようなものが出てきたりますので、どのタイプのメディシンボールでも買い替えが必要であることは意識しておきましょう。
メディシンボールの購入方法
メディシンボールは、サイズによってお近くのスポーツ用品店で販売していないことが多いため、ほとんどがオンラインショップでの購入となります。以下に筆者がおススメする商品をいくつか紹介します。
Reebok メディシンボール
- 特徴: 表面が滑りにくく、投げたりキャッチしたりする動作に最適です。軽量から重量級までバリエーションが豊富で、自分のフィットネスレベルに応じた重さを選べます。
- おすすめポイント: 高い耐久性があり、繰り返しの使用にも耐えます。特にクロスフィットなどの激しいトレーニングに適しています。
SKLZ メディシンボール
- 特徴: ゴム製でバウンドするタイプのメディスンボール。投げて使うトレーニングや、ウォールボールエクササイズに最適です。耐摩耗性に優れ、強い力で投げても壊れにくいです。
- おすすめポイント: バウンドを活かしたトレーニングができ、複数の運動に応用可能です。
GronG メディシンボール
- 特徴: ソフトタイプのメディシンボールで、衝撃を吸収する素材が使われています。持ちやすく、コアトレーニングやリハビリ運動にもおすすめです。特に初心者や高齢者にも安心して使える設計です。
- おすすめポイント: ソフトな素材が体に優しく、落としても安全なので自宅トレーニングにも最適です。
Yes4All ソフトメディシンボール
- 特徴: 大きいサイズ(直径約35cm)でソフトな素材を使用したウォールボールタイプのメディシンボールです。中に均等に重りが入っており、投げたり受け取ったりしても形が崩れにくい設計です。
- おすすめポイント: 滑りにくい表面で、初心者や中級者向けのトレーニングにも最適。重量は2kgから9kgまで幅広く選べます。
トーエイライト ソフトメディシンボール
- 特徴:外装は柔らかい合成皮革や特殊ゴム素材で作られており、体に当たっても痛みが少なく、安全性が高い設計です。特に、トレーニング中に投げたりキャッチしたりする動作に適しています。
- おススメのポイント:さまざまな重量(500g、1kg、2kg、3kg、5kgなど)が揃っており、自分のトレーニングレベルや目的に合わせて選べるのが魅力です。また、トーエイライトの製品は、学校やクラブチームで使用されることも多いため、耐久性が高く、長期間使用しても形が崩れにくい設計になっています。特に、頻繁に投げたりキャッチしたりするトレーニングでも耐えられる仕様です。
まとめ
メディスンボールを使ったバドミントンのトレーニングは、筋力や持久力の向上だけでなく、バランス感覚やコアの強化にも非常に効果的です。正しい方法でトレーニングを行うことで、実際のプレーに直結する効果を得ることができます。ぜひ、メディスンボールを取り入れて、あなたのバドミントンパフォーマンスを向上させましょう。